高速な通信が行える5Gスマホが発売され、「狭い」と騒がれていた5Gエリアも徐々に広まりつつあります。
確かに、今も5Gエリアは拡大を続け、各社数か月後までに予定している「5Gエリアマップ」も公開されていますが、5Gエリアの拡大に喜んでばかりはいられません。
5Gスマホにすると、4Gスマホや3Gガラケーなどで使っていたエリアで使えなくなる恐れがあるのです。
これは、釣り記事でも脅しでもなんでもなく、紛れもない5Gスマホの事実です。
それでは、なぜ5Gスマホは使えるエリアが少なくなってしまい繋がりにくいと言えるのか、簡単に紹介します。
5Gスマホの仕様
5Gスマホは何機種も出ていますが、各社の基本的な仕様として、使用できるエリアが以下のとおり定められています。
- 5G(sub6)のエリア
- 5G(ミリ波)のエリア
- 4G(LTE)のエリア
つまり、5Gスマホの場合、通話や通信ができるのは5G(sub6/ミリ波)と4G(LTE)のエリアのみとなっており、4G(LTE)スマホや3Gガラケーとは使えるエリアが異なり狭くなってしまう「仕様上の問題」を抱えているわけです。
4Gスマホ・3Gガラケーの仕様
これまで使ってきた4Gスマホやガラホ、3Gガラケーの各社基本的な仕様として、使用できるエリアは以下のとおり定められています。
- 4G(LTE)のエリア
- 3Gのエリア
3G機種の場合は非対応
提供終了日まで
3Gオンリーのガラケーから5Gスマホに乗り換える方は少数派でしょうが、4G(LTE)のスマホを使っていても3Gのエリアは使えている状況です。
ただし、3Gのエリアはドコモ、au、SoftBankともにサービス終了が決まっており、サービス終了日を迎えれば使えなくなってしまいます。
ドコモ | 2026年3月31日 |
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au | 2022年3月31日 |
SoftBank | 2024年1月下旬 |
3Gサービスの終了は、auが最も早く、ドコモが最も遅いわけですが、auだとこの記事を書いている1年後には、すでに3Gサービスが終了している状況ということです。
どういうことかというと、3Gのガラケーが使えなくなるというわけ。
「それだけか、関係ないや」
なんて甘い話ではなく、4G(LTE)のスマホでも、3Gの電波を使っていることがあり、5G同様にエリアが狭まってしまう期限が迫っているということになります。
本当に使えるエリアが狭まるのか
5Gスマホにすると、本当に使えるエリアが狭くなってしまうのか、ドコモ、au、SoftBankのエリアマップを見ていただきましょう。
わかりやすい一例として、どのキャリアも「新島」の状況を見てもらいます。
ドコモ
ドコモのエリアマップだと、ピンク色に塗られている部分が「FOMAエリア・FOMAプラスエリア」と呼ばれている3Gのエリアです。
新島では、結構広い範囲でFOMAエリア・FOMAプラスエリアに該当する3Gエリアのピンク色に塗られていることがわかります。
ということは、ドコモの5Gスマホを使っている場合、新島に行くとこのピンク色の場所では圏外になってしまうのに対し、4G(LTE/Xi)スマホや3Gガラケーでは、2026年3月31日までは、圏内として通話や通信が可能ということです。
au
auのエリアマップだと、3G/4G LTE/5Gでエリアマップを切り替えねばなりません。
まず、3Gのエリアを確認すると、北側の岬から東側に広くエリアが広がり、画像中央付近の港から南方にも広くエリアが広がっているのがわかります。
同じ場所の4G LTEのエリアを確認すると、3Gよりも広くなっている場所も見受けられますが、先に述べたような3Gのエリアの特徴的な場所は、エリア外になってしまっているのがわかるでしょう。
5Gスマホの場合、5Gエリアでなくとも4G LTEのエリアは使えますので、4G LTEでカバーされているエリアは使えますが、3Gでカバーされているエリアが使えません。
auだと、2022年3月31日に3Gサービスが終了してしまうため、4Gスマホのままでも繋がらないエリアが増えてしまうのが伺えます。
SoftBank
SoftBankのエリアマップはドコモと似たようなもので、ピンク色に塗られている部分が「3G」のエリアです。
画像でカーソルを合わせてある部分や、画像左上の部分など、5Gスマホだと圏外になってしまう3Gのエリアがあるのがわかります。
J-PHONE時代より、遥かにエリアは広くなり通信品質も増した感じがする(通信技術や基地局、スマホスペックの向上などを除いても)SoftBankですが、5Gスマホにすると、せっかく広がったと思ったエリアから外れてしまうケースもあるでしょう。
ahamo・povo・LINMOはどうなの?
ドコモのahamo、auのpovo、SoftBankのLINMOといった、5G対応の格安プランも始まっています。
では、これらのプランを契約した場合、対応エリアはどうなるのかというと、「4G(LTE)スマホを使っていても5G契約なので4G LTEエリアしか使えない」(5Gエリアも契約上は使えるが、4G端末なので非対応)ということになっています。
そのため、4G(LTE)のスマホを使っていても、3Gエリアでは受発信も通信もできません。
3Gのエリアが近くにあり、よく使うような方なのであれば、ahamo・povo・LINMOにプラン変更すると、急に圏外になってしまうわけです。
3Gのエリアになっている場所の目安
3Gのエリアになってしまっており、5G・4G(LTE)が圏外のエリアの目安というのは以下のとおり。
- 離島の人があまり来ないところ
- 本島のあまり人が来ないところ
- 地下街の奥まった店舗の一部
ほとんどのエリアは、すでに各社4G(LTE)のエリアに置き換えられていますので、3Gエリアのままになってしまっているところは、全国的に見れば一握りです。
ただ、新島の例で示したように、人があまり通らないような場所は5Gスマホにすると圏外になってしまう場所もあるため、5Gスマホを契約するのであればエリアマップを確認してから契約することが大切と言えます。
エリアマップを確認する際には、5Gエリアばかりに気を取られず、サービス終了をまたず真っ先に圏外になってしまう「3G」のエリアを気にすべきです。
しかし、あくまでエリアマップで視覚的に確認できるのは「地上」のエリアがメインで、地下街は名称だけで書かれていることが多く、4G対応なのか3Gになってしまうのか、実際に行ってみないとわからないケースもあります。
各社サービスエリアは強化していますので、いま3Gエリアのままで圏外になってしまっても、いずれ5Gとはならなくても4Gでカバーされる可能性が残されてはいる点だけは、頭の片隅にでも入れておくといいでしょう。
当然ながら、サービスエリアがそのままで改善されることなく、圏外のままということも十分にあり得ます。
電波の特性や基地局の設置場所などが絡んでくる問題のため、期待のし過ぎは禁物です。
【さいごに】5G契約はちょっと待った! 使う場所を考えて
5Gスマホは通信速度が速く、4G(LTE)のエリアも使えるため、5Gエリアが拡大しきっていなくとも契約する価値はあります。
特に、5G対応のハイスペックなモデルのスマホが発売されていたりしますからね。
ですが、5Gスマホを使うには5G契約が必要となるため、3Gエリアでの使用ができなくなってしまうのが難点。
山道を外れ山に踏み入れたり、離島への旅行だったり、人があまり来ない場所でレスキューを呼ばねばならないような状況に陥ってしまったとき、5Gスマホだと助けを呼べず、4Gスマホや3Gガラケーなら助けを呼べたはず、なんて展開もあり得るわけです。
シチュエーションによっては、専用に衛星携帯電話を持ち歩くこともあるでしょうが、レジャー感覚の一般人は持ち歩きません。
3Gサービス終了までの話とはいえ、4Gスマホや3Gガラケーよりも使えるエリアが狭くなってしまう5Gスマホは、使う場所によっては契約を考え直さねばならないという結論に至るでしょう。
ここ最近の話だと、ahamo・povo・LINMOといった格安プランも5G契約になるため、4Gスマホを使っていても油断なりません。
都会に住む人ほど関係が薄くなる話ではありますが、3Gエリアを使う可能性がゼロとは言い切れないため、「5G契約をすると即3Gエリアが使えなくなる」を念頭に、5G契約に切り替えるのか、今の契約を維持するのか吟味しましょう。
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