CloudflareというCDNサービスを使いながら、WordPressを使ったサイト運営をしている方も多いのではないですか。
そんなサイトでも、WordPressを使っています。ですが、CloudflareのようなCDNは未導入。
エックスサーバーを使っていて、現状その速度に不満がないというものありますが、正直CloudflareのようなCDNにはデメリットもあり、簡単に使う気にはなれません。
特に、無料でも使えるCloudflareは、個人サイトを中心に人気を博していますが、メリットとデメリットを理解して利用しているのか疑問です。
「じゃあ、何がデメリットなの?」
ということで、Cloudflareのデメリットを中心に解説していきます。
Cloudflareとは
Cloudflareは、相当有名なCDNサービスですので、細かな説明は省いても伝わるでしょうか?
大雑把に説明しておくと、Cloudflareは、自分で借りている(持っている)サーバーからの転送量を大幅に削減してくれるのが一番のメリットで、その使用料金もプランが分かれていますが無料から利用できます。
個人でこだわらないユーザーならば、無料プランで十分事足りるものですが、少しこだわりだすと無料では機能不足になります。
ただCDNサービスらしく、世界中にデータ配信の拠点を置いているため、グローバルで訪問者が多いサイトほど、威力を発揮するものです。
Cloudflareのデメリット
Cloudflareのデメリットは、結構あります。WordPressと組み合わせるとなると、なおさら多くなりますね。
無料だからと安易に導入していると、陥りがちな罠も存在しているので、下手に導入してしまっていないか、また導入しようとしていないか、チェックしていってください。
日本向けサイトだと効果は薄い
日本のサーバーを借りて、日本人向けに公開しているサイトだと、アクセスしてくる人は必然的に日本国内からが大多数になります。
サーバーが置いてある場所に、ネットワーク的なルートが近ければ近いほど(物理的に近ければ、だいたい近い)遠くのサーバーと比べれば近くのサーバーのほうが、サーバーへのアクセスは速くなります。
ただここで気をつけないといけないのは、日本だとサーバーとの距離が離れていても、コンマ秒から1秒程度縮まれば御の字というところ。
アメリカのように国土が広大ならば、同じ国内でも話は変わってきますが、こと日本向けサイトだと、Cloudflareを使ったところで、日本人のユーザーには、さほどメリットを感じることがないものです。
それにCloudflareのデータセンターは、東京と大阪にしかありません。
大手のレンタルサーバーも東京と大阪周辺のデータセンターを使ってサーバーを設置しており、どちらか一方を借りるためCloudflareを使えば若干有利になるとはいえ、日本は国土が狭いため、東京と大阪にデータセンターを置かれたところで、さほど差は出てきません。
たとえば、東京にサーバーを置くレンタルサーバーを借りているユーザーのサイトに、北海道と沖縄からアクセスがあった場合、北海道からならレンタルサーバーそのものにアクセスしてもCloudflare経由でアクセスしてもほぼ同じ場所ですが、沖縄からだと大阪を通過して東京まで通信をしなければならないと思わるでしょう。
その点、Cloudflareなら、大阪にあるデータセンターで処理できるため、アクセスは速くなりますが、国土が狭い日本だと大阪にあるサーバーと東京にあるサーバーにアクセスする時間に大差が出づらく、その他の項目も合わせてデメリットを被ることになります。
Cloudflareもダウンする
レンタルサーバーも障害やDDoS攻撃などによってダウンしてしまうことがありますが、Cloudflareもダウンしてしまい、繋がらなくなってしまうことがあります。
収益化しているサイトだと「繋がらなくなる=収益化の機会を逃す」ことに繋がるので、大損害以外の何物でもありません。
考えてもみてください。
うちのサイトではありませんが、1万円の収入がある商材を扱っていてユーザーを集めているのに、たった30分Cloudflareのせいでサイトがダウンしてしまい、「アクセスできないからいいや」とほかのサイトから同じ商材を買われたらどう思いますか。
実際にそういった場合、サイトにアクセスしようとされていたのかはわかりませんが、のちのちツイッターやコメントで本人からそんな話を聞かされたら、ジャム君なら悔しくてたまりません。
確かに、レンタルサーバーもダウンするときにはダウンしてしまいますが、Cloudflareもダウンするときにはダウンしますし、Cloudflareで使えるAlways Onlineという機能は有料のProプラン以上でないと使えませんし、Cloudflareを使ったらオリジンサーバーとCloudflare自体両方のダウンに怯えることになるのです。
借りているサーバーや、自前のサーバーで、CloudflareのようなCDNサービスの利用有無を問わずサイト運営の大元になっているサーバーのこと。
ジャム君の場合は、このサイトをエックスサーバーで運営しているため、オリジンサーバーはエックスサーバーとなる。
キャッシュルールが面倒
Cloudflareを使うにあたり気をつけねばならないのが、キャッシュのルールです。
無料のプランだと、Cloudflareのダッシュボードで3つまでページルールを設定でき、キャッシュするページやファイルのルールを作ることができます。
ですが、WordPressを使いつつCloudflareを使うと、この無料で使えるページルールは3つすぐにいっぱいになってしまうでしょう。
管理画面やツールバー表示をキャッシュさせるわけにもいきませんし、Cloudflareのページルールを増やすためには有料プランを使うか、無料プランで追加ルールを使うために追加料金を支払わねばなりません。
これだけではなく、Cloudflareがデフォルトでキャッシュするファイルも決まっており、「そのファイルをキャッシュさせたくない」「それ以外のファイルをキャッシュさせたい」といった場合にもページルールを必要とするため、WordPressを使いながらCloudflareを無料で使おうとすると、ページルールがカツカツになってしまいます。
動的なWordPressではキャッシュできないファイルもある
先に述べたページルールをうまく活用できればキャッシュ可能ですが、動的コンテンツを生成するWordPressだと、Cloudflareを使ってもキャッシュされないファイルが結構あります。
参照:Paradigm digital creative
その中でも代表的でサーバーのパワーを使うのが、PHPファイル。
WordPressを使うにあたって、便利な機能を追加できるプラグインにも、多数のPHPファイルが含まれていますし、WordPressのテーマにも多数のPHPファイルが使われています。
また、「メディア」からアップロードしたような動画ファイルで、容量が非常に大きいものも、Cloudflareにはキャッシュされずに、レンタルサーバーから直接配信され続けます。
回避策としては、Cloudflareの有料プランにして、キャッシュできるファイル容量の上限を上げるか、動画ファイルであればCloudflare Streamという有料サービスを別途使うことです。
容量の大きな動画ファイルならば、YouTubeにアップロードして埋め込んでも、Googleドライブなどから共有して埋め込んでも構いませんけどね。
ただ、PHPファイルはページルールを活用することになるため、ますますページルールはカツカツになってしまうでしょう。
SSL証明書の発行先が自分のドメインではない
Let’s Encryptが簡単に使えるようになってからというもの常時SSL化が進んでおり、当然CloudflareでもSSL証明書を発行してもらえます。
ですが、Cloudflareを使っているサイトのSSL証明書をよく見てみると、「発行先」のドメインが、自分のサイトのドメインではないのです。
SSL証明書まで、わざわざ確認しながらネットサーフィンをすることなんて少ないでしょうが、たまたま見たときに一致していないと違和感を覚えてしまいます。
これも有料のSSL証明書をCloudflareで導入することで解決するようなのですが、あえて動作確認したことはないので、どう見えるのかはわかりません。
Cloudflareを使わず、レンタルサーバーそのまま使っていれば起こることはほぼないであろう問題ですので、重箱の隅ながらもデメリットとして挙げさせてもらいました。
ほかのCDNサービスと機能が重複することがある
以前も記事にしたのですが、WordPressの代表的なプラグインにJetpackがあります。
その中の機能に、「サイトアクセラレータ」(Photon)がありますが、この機能では画像を中心にJetpackのCDNで配信するようになるため、Cloudflareと機能が重複します。
つまり、「画像の転送量削減目的でCloudflareを追加」というのは意味がないということになります。
サイトアクセラレータとCloudflare両方が機能している場合は、サイトアクセラレータのほうが有効になるため、CloudflareのCDNサーバーから画像が配信されることはありません。
もしも、サイトアクセラレータとCloudflareを、どちらかどうしても使わねばならないのであれば、サイトアクセラレータのデメリットが大きすぎるため、Cloudflareのほうがおすすめですね。
無料サポートはメールのみ
Cloudflareの無料プランだと、困ったことがあったときにサポートに問い合わせられるのは、メールのみになっています。
上位のプランになると、チャットや電話が加わりますが、無料で済まそうと考えているのであれば、ググるかメールで解決するか、詳しい知人に教えてもらうかくらいしか、道はありません。
また頼みの綱のメールサポートも、無料プランだと平均応答時間が24時間以内とされているため、有料プランに比べると見劣りします。
そもそも、Cloudflareが原因なのか、オリジンサーバーであるレンタルサーバーが原因なのか、といった切り分けもしなければならないため、相応の知識は求められるデメリットを抱えているわけです。
いざCloudflareが原因とわかり、メールのサポートが返ってきても、レンタルサーバーとのやり取り同様に一度のメールで解決するとは限りませんので、本来ならば見えているサイトが数日間見えないままで、相当数の機会を逃してしまうかもしれません。
転送量削減目的に釣られると痛い目に遭う
Cloudflareを使うと、たしかにレンタルサーバーの転送量削減ができます。
ただそれも、よく考えて使わないと、痛い目に遭うだけです。
ジャム君が使っているエックスサーバーのX10プランだと、1日900GBを目安に転送量が定められています。
仮に1ページ10MBレンタルサーバーから転送されるページで構成されているとすると、1日90,000PVまで耐えることができる計算です。
この数値は「サーバーごと」の転送量ですので、複数のサイトを同じサーバーで運営しているのであれば、合計した数値から算出する必要があります。
もし、この数値を恒常的に上回ることが予想されるならば、サーバー上位のプランに切り替えてもいいですし、複数サイトを持っているのであれば、サイトごとにサーバーを契約してもいいでしょう。
確かに余計にお金はかかりますが、収益化しているのであれば、このPV数があれば、それくらいの余裕は出てきているはずです。
そこでサーバー代をケチろうとしてしまうと、これまでに述べてきたようなデメリットを被ったり、WordPressとCloudflareの連携が複雑化して失敗したり、大きな損失を生みかねません。
これを読んだあなたは、くれぐれも、転送量削減目的で安易にCloudflareに手を出さないようにしましょう。
Cloudflareにメリットはないのか
Cloudflareのデメリットを中心に解説してきましたが、果たしてCloudflareとWordPressの組み合わせにデメリットしかなく、メリットはないのかと言われると、答えは「NO」
しっかりと、Cloudflareにも、CDNとしてのメリットがあります。
CDNサービスの中では珍しい無料サービス
使い込もうとして不便な点を解消しようとすれば、Cloudflareも有料となりますが、基本的な点だけを押さえられればよいのであれば無料、というのがCloudflareの強みです。
WordPressと連携させることのできるプラグインも、存在しているくらいです。
出典:Paradigm digital creative
ほかのCDNサービスを使っていたら、そうはいきません。
確かに、無料で使える期間や容量といったサービスが提供されていることはあれど、使い続けるとなると、転送1GBあたりいくら、といった料金が請求されてしまいます。
たとえば、AmazonがやっているCloudFrontというCDNでは、日本のCDNサーバーだと、転送だけで1GBあたり0.114USDかかります。
CloudFrontは料金体系が複雑で、その他にもHTTPリクエストでも料金が発生するため、転送量だけでなくリクエスト数にも目を光らせておかないと、大規模なサイトほど高額化しやすくなっています。
もちろん、ほかのCDNサービスでも同様に、基本有料で適用されているため、小規模でやっている個人のサイトほど、気を抜いていると度肝を抜かれる金額を請求されるでしょう。
そんなことが起こらない、無料で初められるCloudflareは、料金的なメリットが多大にありますね。
DDoS攻撃に強くなる
レンタルサーバー側でも対応していることがほとんどですが、DDoS攻撃を仕掛けられてしまった際に、Cloudflareを使っていれば、オリジンサーバーに負担がかかりづらく、複数のサイトを同一サーバーで運営していても、釣られてダウンしづらくなります。
「弱小だし関係ないよ」
と思っているかもしれませんが、スパムコメントが飛んできていることはありませんか。
スパムコメントを抑制できるプラグインもありますが、「コメントを飛ばされた」という事実を消すことはできません。
いつDDoS攻撃の標的にされるかわかりませんし、プラグインのぜい弱性のせいでDDoS攻撃を仕掛けられたり、DDoS攻撃を仕掛けているループ状態に陥っていたりなんてこともあり得ますので、備えておいても損はありません。
ダッシュボードが日本語化できる
Cloudflareの設定画面であるダッシュボードも、設定で日本語化することができ、比較的容易に設定を進めることができます。
英語の設定画面で、日本語に自動で翻訳してみたはいいけど、「中途半端な日本語で意味がわからない」では困りますからね。
その点、Cloudflareは、ほぼすべての項目が日本語化されているため、設定がラクラクです。
メリットもあるけどCloudflareは安易に無料では使えない
「Cloudflareを使おう!」
といった動きや、Cloudflare推しのサイトがあるのは事実ですが、ジャム君としては安易に無料の状態でCloudflareを使うことはおすすめしません。
なんと言っても、日本国内向けサイトとして考えると、デメリットが大きすぎる割に、恩恵が少ないです。
儲かってるサイトの運営者さんなら、素直に複数サーバーで運営するか、サーバー上位のプランに切り替えるかしたほうが安定しやすいでしょうし、問題の切り分けもしやすいでしょう。
逆に大して儲かっていない、ジャム君のような弱小サイトの運営者さんなら、CloudflareのようなCDNは必要ありません。
よっぽどの格安サーバーでも使っていない限り、速度に大差は出ないでしょうし、転送量も枯渇しません。
サイトの構造によっても異なりますが、多くのサイトの場合、一番転送量を食うのが「画像」ファイルですので、画像の最適化をしていないのであれば、画像の最適化をするだけでも、転送量はグッと抑えられます。
WebPへの対応に消極的だったAppleも、ついにWebP対応に舵を切り出しましたので、まだ画像の最適化を行っていないのであれば、今が準備しておくチャンスですよ。
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