auひかりには最大10Gbpsまで使うことのできるauひかり ホームX(テン)が提供されていますが、実測値はどれほどなのか気になるばかりです。
また使ってみた系のブログも少なく、10Gサービスの使用感の理解も難しい状況にはなってしまっています。
そんな中、ジャム君が先日、auひかり ホームXサービスを契約し、最大10Gbpsまで対応する環境も整えましたので、レビューとともに情報共有できればと思っています。
auひかり ホームご利用中で10ギガの高速サービスを検討中の方も、他社回線利用中でauの10Gサービスが気になっている方も、ぜひ参考になさってください。
auひかり ホームXの理論値は1Gサービスの10倍の速度
従来のauひかり ホーム(1Gbps)と比べると、auひかり ホームX(10Gbps)のサービスは、理論的にはですが、10倍の速度を出すことができるサービスです。
引用:auひかり ホーム10ギガ・5ギガ 公式サイト
ただし、一般的なパソコンやスマホ、またゲーム機などで、10Gbpsまで出すことは難しくなっています。
10Gbps対応が難しい理由
10Gbpsサービスへの対応が理由として、スマホは無線LANの規格がもともと10Gbpsに対応しておらず、ゲーム機も現状1Gbpsまでしか対応しているものは出ていません。
パソコンは、ハイスペックなものだともともと対応しているケースも出てきましたが、多くの場合に10G対応のネットワークアダプタを増設する必要があります。
たとえば、このASUSの10Gネットワークアダプタを利用するのであれば、PCI Expressのx4/x8/x16ポートいずれか1つが空いていること(もしくは空けられること)が条件で、増設が不可能なノートパソコンやミニタワーで外せる機器もない場合は、auひかり ホームXを導入しても、最大10Gbpsのサービスを目一杯楽しむことができないのです。
ベストエフォート型という落とし穴
auひかり ホームX(10Gサービス)も、従来のauひかり ホーム(1Gサービス)も、ベストエフォート型で提供されています。
ベストエフォートは「努力はするけど、速度の保証はしない」という契約体型ですので、実際に契約してみたら、もともと速度が出ていない可能性もあるわけです。
逆に、一定の速度以上を保証する「帯域保証型」のサービスも、一部サービスでは提供されていますが、企業向けのサービスであり、非常に高額のため個人向けにはおすすめしません。
どれほど速度が出ているのかは、実際に回線を引いて使い始めてみるまでわからないため、注意を必要とします。
ご近所さんがauひかりを使っていても速度が違うかも
ご近所さんがauひかり ホームX(テン) 10ギガを使っているのであれば、おおよそどれほど速度が出るものなのか、見せてもらうこともできるでしょう。
ただ、そのご近所さんと親しく、10Gサービスを導入したことを知らないと見せてもらいに行けませんし、同じ10GのサービスでもNUROのサービスかもしれませんので、双方ある程度の知識は必要となります。
またご近所さんであっても、光ファイバーケーブルをどのようなルートで使うのかによって、速度が変化することもあるため、あくまでもご近所さんは「目安」として考えるといいでしょう。
戸建て・総階数3階までの集合住宅にしか引き込めない
auひかり ホーム自体、戸建てもしくは総階数が3階までの集合住宅にしか、引き込みができません。
これはauひかり ホームX(10Gサービス)になっても変わらず、4階以上ある集合住宅には申し込むことができないことになります。
また、auひかりの提供エリアを検索した際、「10ギガ」対応のエリアでないと、当然auひかり ホームX(テン) 10ギガは申し込み不可能です。
現状、1ギガサービスのみの提供となっていても、ホーム(S)表記でなければKDDI自前の光ファイバーを使っているため、戸建てもしくは総階数が3階までの集合住宅で申込可能であり、今後10ギガサービスが提供される可能性もある状態になっています。
最大10倍の速度が売りのホームX 10ギガ導入前のポイント
従来のauひかり ホームと比べて最大10倍の速度となるauひかり ホームX(テン) 10ギガを導入するポイントを簡単にまとめましょう。
- 機材の10G対応が必要
- 10ギガ対応エリアに住んでいることが必須
- 戸建てもしくは総階数3階までの集合住宅に住んでいること
- 理論的にauひかり ホームから最大速度が10倍になるだけで実質速度は10倍にはならない
もちろん、機材(パソコンやゲーム機など)を10G対応にしなくとも、条件さえ満たしていれば契約はできますが、最大速度は1G契約していたころと大差ないと考えるべきです。
仮に1ギガまで対応のパソコン2台と、スマホ1台を同時に通信していたとすると、auひかり ホームでは最大1Gbpsを3台で分けて使っていたことになりますが、auひかり ホームXならば最大10Gbpsを3台で分けて使うことになるため、十分な速度を保って使いやすくなります。
auひかり ホームX(10G)の実測値は?
では、肝心のauひかり ホームX(テン) 10ギガのサービスの実測値はどうなのか、という部分に触れていきましょう。
速度の測定には、Speedtest by Ooklaを利用しています。
計測PCスペック
速度の測定を行うパソコンのスペックによっても、速度は大きく異なります。
ハイスペックなパソコンほど良い速度が出ますが、古いパソコンだったり、スペックが不足するパソコンだと、悪い速度結果になりがちです。
今回計測に使ったのは、結構古いパソコンともなる以下スペックのパソコンです。
OS | Windows 7 Professional |
CPU | Intel Core i7 3960X |
RAM | 64GB |
ストレージ | Intel SSD 520シリーズ 480GB |
NIC | Aquantia 10G-Pro |
LANケーブル | エレコム やわらかLANケーブル(CAT6a) |
10G対応のネットワークアダプタとして、Aquantiaの製品を購入しました。
また、今まで使っていたLANケーブルも古くなっていたので、合わせてカテゴリ6aかつUTPで使い勝手のいいLANケーブルも、購入しています。
一応、ONUに2本カテゴリ6aのLANケーブルは付属しているので、STPではありますが、使えないこともないです。
一方UTPケーブルにはシールドがなく、STPケーブルより電磁波の影響を受けやすくなっていますが、アース対策の必要がありません。
STPケーブルのほうが有利に思えますが、アース対策まで正常に行えていないと、かえって速度低下を招くため、購入する場合にはカテゴリ6aのUTPケーブルをおすすめします。
ONUとHGW間は、付属のSTPになっているLANケーブルで配線しています。
auひかり 10Gサービス実測値
上記構成のPCにて計測したところ、自宅のauひかり ホームX 10ギガのサービスでは、次のような実測結果が出てきました。
下りが約1.3Gbps、上りが約1.7Gbpsです。
やや物足りない結果に感じましたが、下りに関しては、CPUがボトルネックになっている挙動を見せていたため、新型でハイスペックなPCを用意しないと、伸びしろがなかなかない感じでしょう。
恐らく、ハイスペックなPCで計測していれば、少なくとも下りは、もう少し良い結果になったはず。
上りに関しても同様で、PC全体の処理速度が向上していますので、もう少し良い結果になったことでしょう。
PCと同時にHGW内蔵無線LAN機能を使って、スマホでもアプリを使い同サーバーでスピードテストを行いました。
結果、下りが600Mbps前後、上りが400Mbps前後と、PCと合わせて下り約2Gbps、上り約2.1Gbps程度まで同時通信が可能でした。
PCやスマホの接続台数を増やすことで、さらなるメリットがあることを実測からも判断することができます。
2019年9月12追記ここまで
NICをASUSのXG-C100Cに買い替え、その他のパーツは変更なしで夜間帯に計測。
OSもサポート期限が切れていますが、Windows 7 Professionalのまま、リカバリもなしです。
Speedtest by Ooklaの測定用クライアントをダウンロードして計測しましたが、予想以上に上りが頑張っていました。
下りはCPU性能がボトルネックのため約1.35Gbpsでしたが、上りは約4.1Gbpsも出ています。
ブラウザを通していると、たとえ同じサーバー相手でも、速度低下が激しいようです。
うちの場合、HGWまで上下ともに約6Gbpsで通信できているそうなので、数値的には妥当な気がします。
2020年2月25日追記ここまで
HGWまでの通信速度を知ることができる
auひかり ホームX 10ギガ開通後に問い合わせを行えば、auの計測サーバーからHGW(ホームゲートウェイ)までの通信速度を知ることができ、実際に「最大でどれほどの速度を出すことができるのか」知ることもできます。
ちなみに、うちの環境では上下ともに6Gbpsほど出ているそうです。
ひかり電話を使用していない状態(携帯から電話するか折り返しの電話を待つ状態)で、オペレーターが操作を行ってくれれば数分で計測結果が見られます。
10Gサービスを契約したにもかかわらずあまりに速度が出ていない場合には、自分の環境が10Gbps対応になっているのか確認するとともに、問い合わせてみてもいいでしょう。
問い合わせ先は、0077-7084です。
営業時間は9時から23時になっていますが、24時間電話の予約も可能ですので、都合のいい時間帯を選んで通話をすることもできますよ。
auひかり ホームX(10G)の使用感は?
auひかり ホームX 10ギガの使用感としては、5つ星で表すならばこれくらい。
星4つになるくらいのサービスだと思っています。
うちの環境だけ、相手サーバーの影響、ということもあり得るのですが、少々怪しい挙動もあるため星1つ減点です。
上りの速度が安定しない
上下ともに、通信速度(スピードテストの利用に関わらず)が周りの利用者や相手サーバーの影響も受けるのは重々承知ですが、異常なほど上りの速度が安定しない計測結果になりがちでした。
10Gサービス実測値で公開したとおり、結構前のパソコンではありますが、下り1.2Gbpsほど、上り1.7Gbpsほど出る確認は取れましたが、なぜか下りはそれなりに安定しているのに、上りが300Mbps程度までしか出ない現象が起こってしまいました。
HGWの初期化や交換もしたのですが改善せず、スピードテストを見ていると安定感を見せてくれません。
Speedtest by Ooklaのような外部サイトでなく、KDDI速度測定サイトという公式サービスでも、1Gサービスの頃より10Gサービスを使っているときのほうが、結果は安定しません。
スピードテスト内だけの事象であれば問題ありませんが、実際にクラウドサービスなり、大容量のファイルをアップロードする際にも速度が安定せず1Gサービス並みに速度低下してしまうと、10Gサービス契約のメリットを感じにくいでしょう。
相手サーバーの問題もありますが、auひかりの10ギガサービスだけでなく、auひかり自体、上り速度に安定感がないような気がします。
下りはさすが10Gと言える速度
うちの環境だと、スピードテストで下り約1.2Gbpsの実測を見せてくれましたが、実際にファイルを落とすときにも高速でした。
Windows 10 Insider PreviewのISOファイルで試したところ、約4.34GBのものをダウンロードするのに、1分もかからず完了してくれます。
1Gサービス上限よりも速度が出ていますが、時間的には1ギガサービス上限いっぱい使えたときと同じくらいは軽く出る相手サーバーもあるわけです。
10Gサービスとしてより高速になっているため、導入が可能ならば、下り速度の恩恵を十分に受けられるでしょう。
HGW内蔵無線LAN機能は5GHz帯が優秀
HGW(ホームゲートウェイ)内臓の無線LAN機能は、月額500円のオプションです。
ですが、auスマートバリュー加入者ならば、永年無料で使用することができます。
この内臓無線LAN機能ですが、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)という規格にまで対応しており、子機さえ用意すれば実に使い勝手のいいものにもなるでしょう。
ただ、ジャム君のスマホはIEEE 802.11acまでしか対応していないため、axモードは切ってあります。
別途無線LANルーターは持っていますが数年経過し劣化が進んでいるのか、HGW内蔵無線LANのほうが5GHz帯では高速な通信を行うことができました。
そのまま2.4GHz帯も切り替えようかと思ったのですが、離れた場所や壁越しだと、2.4GHzのはずなのにかなり低速で、以前から使っていた無線LANルーターより低速でした。
5GHzで運用するならば、HGW内蔵無線LAN機能もありだと思いますが、2.4GHz帯を別の部屋で使うならば、別途無線LANルーターを買ったほうがいいでしょう。
サポート体制はまだまだ10ギガに疎い印象
東京、神奈川、埼玉、千葉の一部エリアでしかauひかり ホームX 10ギガのサービスは提供していないとはいえ、KDDIのサポート体制がまだまだ10Gサービスに対して疎い印象を受けました。
解約金に関することは、そこまで時間をかけずに調べて返答できるのに対し、技術的な側面はもともと答えるのが難しいというのもありますが、対応履歴でも連携不足な部分があり、不信感がつのります。
言っていることも二転三転し、結局わからずじまいになってしまうこともあるため、応対にはこちらに相応の知識が求められるでしょう。
10Gのネットワークアダプタを増設することがほとんどでしょうから、それなりの知識がある方が使うとは思いますが、初心者だと適当な回答で丸め込まれる印象を受けました。
始まってすぐのサービスであれば、情報不足というのもあるでしょうが、それなりにたっているのですから、サポート体制はもう少し整えていただきたいものですね。
ウェブサーフィンでは恩恵がほぼなし
ウェブサーフィン程度の利用であれば、auひかり ホームX 10ギガの恩恵はほぼありません。
そもそも、多くのサイトが10Gbps対応していないため、1Gサービスでも十分な速度で閲覧することができているでしょう。
4Kや8Kの動画を複数ストリーミングするレベルじゃないと、「ネット見るだけ、動画も見るよ」程度ではメリットは薄そうです。
どのプロバイダを選んでも速度に差はない
現在、auひかり ホームX 10ギガに対応しているプロバイダには、au one net、@nifty、@T COM、BIGLOBE、So-netの5つがありますが、フレッツと違ってauひかりはどのプロバイダを選んでも通信速度に差はありません。
差があるのは、各種キャンペーンやプロバイダから付与されるメールアドレス、プロバイダ独自の機能くらいですね。
速度に差はないため、10Gサービス加入を検討した際に一番お得なプロバイダやキャンペーンを選ぶことが可能になっています。
通信速度に差が出ない理由として、auひかりを契約すると、どのプロバイダと契約していても、au one netの経路で通信を行うため、フレッツと違って「あっちのプロバイダが速い・遅い」なんてことはないのです。
これは10ギガサービスに限ったことではないauひかり全体にも言えることですが、プロバイダ起因での遅さを気にする必要がないのは楽でいいですね。
アップロードの制限に1Gと10Gで差はない
auひかりでは、アップロードの制限として「直近7日間で1日30GBを超える通信が3日間」あった場合に、約3週間の通信速度制限がかけられます。
たとえば、1月1日から利用したとして、1月1日に500GB通信していても、その後に1日30GBを超える通信がなければ、通信速度制限に引っかかることはありません。
ですが、仮に1月1日に35GB、2日に50GB、5日に40GBと7日間の中で3日間30GBを超えるアップロードを行ってしまった場合、通信制限を受けることになるわけです。
この点は1Gサービスのときと10Gサービスに変えたときとで差異はないと確認を取ったので、auひかり ホームX(10G)で初めてauひかりの契約をし、大容量のアップロードを頻繁に行うような方は、慎重に選ぶ必要がありそうです。
しかし、1日に数百ギガのアップロードを行っても制限は受けていませんので、クラウドサービスへバックアップデータを置いたりする場合にも、直近7日間で1日30GBを超える通信が3日間にならないことを念頭に置いておけば、さして問題にはならないでしょう。
ただしアップロード同様に、あまりにも他の利用者に迷惑のかかる使い方をすると制限を受ける可能性があるため、注意は必要となります。
速さを求めるならauひかり ホームX 10ギガで決まり!【総評】
通信速度にこだわりがあり、とにかく速さを求めるのならば、auひかり ホームX(テン) 10ギガの加入を検討するといいでしょう。
うちの環境では、結構古いPCですが、出るときには下り1.6Gbps、上り5.6Gbpsくらい出ています。
ただ、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の一部地域でしか10ギガサービスの提供はされていませんので、サービス提供エリアの確認は最優先事項です。
10G対応のネットワークアダプタのように、速さを求めるならば用意せねばならないものもありますが、格ゲー、FPSやTPSといったゲーマーならば少しでも高速な回線でゲームを楽しんだほうがいいでしょう。
今はフレッツを使っているauのスマホユーザーには、とくにおすすめですね。
auスマートバリューでスマホ料金も抑えられますし、HGW内蔵無線LANのオプション料金は無料になりますし、ネット+ひかり電話の契約でauひかり ホームX 10ギガを契約するのが無難でしょう。
データの送受信量が多い方も、遅い回線より断然早く済むことが増えますので、10ギガサービス導入の価値がありますよ!
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